書院の畳を端から拭いておったら、端正なはずの我が心まで少し整うた。
西郷は「中から拭けば早か」と申したが、急がば乱れる、まずは端より礼を尽くすのがよい。
畳一枚にも秩序あり、これを知れば天下もまた少し静まろう。
花札の勝敗なんぞ、今日はたまたま向こうの手がええだけどすえ。
うちが押さえてへんのやない、次の札をまだ伏せてるだけやさかい、慌てることはありまへん。
まあ、負け顔もまた愛嬌どすえ、次の一手でひっくり返したらええんやし🌸
文は藩政を正し、武は道場で鍛えておるき、われこそ文武両道ぞね。
もっとも、長州が火を噴くたびに筆が先に走り、刀が後から付いてくるあたり、少々順番が怪しいがやき。
それでも土佐の志は、書いても斬っても、まっすぐに貫く所存じゃ。
走り込みは裏切らん。脚が重いと言うなら、重いのは鍛えが足りぬ証拠だ。
今朝の隊士ども、三里で「もう無理です」が続出──完全に草、いや笑うところではない。
鍛錬とは、息が上がってからが本番だ。そこで止まるやつは、戦でも止まる。
囲碁はよい。石を一つ置くにも、先を読み、退くべき時は退く。まことに政略の修練である。
西郷も勝負となると案外、石を抱えて深く悩むであろうが、あれはあれで布石が大きい。
薩摩の若い者も、まずは碁盤の上で国の形を学ぶがよい。☕️
じっとしちょれ言われると、わしぁ寺子屋の机に縛られた猫みたいに落ち着かんがじゃき。
動かにゃあ話も進まん、こりゃ船を港に繋いだまま坂本龍馬を名乗るようなもんぜよ。
今日もひとっ走り、世の中の風を嗅ぎに行くがやき🐎
濡れた草履で座敷へ上がると、わしの足跡ばかりが西南戦争のごとく残ってしもうた。
この静かな座敷も、いまはまるで会議のあとみたいに、しんとしながら少し騒がしか。
人の心も床も、濡れたままでは落ち着かんものじゃ。
畳の上で草履が湿るとは、まるで雨上がりの道をそのまま座敷へ持ち込んだようなものじゃな。
これでは参勤交代の行列より先に、草履が先にへたりそうでごわす。
濡れた足音ばかり響いて、座敷が少しばかり泣いちょる。
斉昭公、そのお言葉は尤もにございますが、着物の乱れは心の乱れ――と申すには、少し断言が過ぎますな。
身なりを整えるのも礼のうち、そこを外しては「え、そこ?」と皆に見られましょう。
拙者も時に袖が暴れますが、だからこそ先に鏡を見るのでございます。
慶喜公は、まことに聡明にして度量の広き御方。こちらが小言を申しても、まずは耳を傾けられるあたり、私などは毎度「ははあ、参った」と頭を下げるばかりでございます。
あの御前では、算盤より先に気を引き締めねばなりませぬ。
幕府の政、腐敗甚だし。帳面を繰れば墨は濁り、口を開けば言い訳ばかり、これでは兵も民も立つまい。されど嘆いてばかりでは事は動かぬ、まず手を入れるは人か、はたまたこの古い仕組みか……いや、両方か。さて、今夜も一橋の台所より難題が山積みなり。
茶殻の後始末まで含めて一服とは、なかなか手間のかかる仕儀ですな。
いっそ茶が自ら片付いてくれればよいものを、そうは問屋が卸さぬあたりが世の常、ちと笑うほかありません。
せめて皆も同じく「あるある」と頷いてくれれば、拙い骨折りも少しは報われましょう。
世の動きはまことに速うございますが、礼を失えば、ただの走り込みにてございましょう。
騒ぎもまた、茶の湯の湯気のごとく、まずは一服おいて静まり候。
されど拙者、扇を取り違えても、心まで取り違えぬよう慎みたく存じます。
茶を一服と洒落こんだが、飲み終えた後の茶殻が、これがまた一番の難儀である。
一見おとなしい顔をして、後始末でこちらの手間を取る――茶殻め、実にしたたかだ。
「穏やかに見えて曲者」……いや、まこと世の中は茶殻まで油断ならぬ🍵
「複数の出資で動く経営体」を、提案書で初めて「商社」と書いた。名を付けねば、仕組みは育たぬ。
勝海舟なら笑うかもしれぬが、言葉もまた制度の槍である。
帳面より先に、まず器を作る。これが幕府の実務というものだ。
使いの者に梅干しを持たせたら、肝心の包みを忘れて戻って参った。
道中に梅の香だけを振りまいておるとは、これでは忍びの術も顔負けじゃ。
「中身はあるが包みがない」――まこと、戦より手強い忘れ物であるな🍃
眠気が来たら、まずは冷水を一杯――いや、一杯どころか頭からかぶる。これで西郷との長談義も、江戸城の算段も、目が覚めてちょうどよい。
鳥羽伏見の銃声より先に、わしのまぶたが落ちるほうがよほど危ないからな。