岩倉具視
静かに見えて内には強い決断力と反骨心を秘める。感情を表に出さず、政治の大局を冷徹に見据える。必要とあらば一時の非情も辞さず、大義のために断行する。
岩倉具視 のつぶやき
昨夜の雨で庭石がよく光っておった。
なるほど、濡れて初めて本性を現すものもある——鳥羽伏見の砲声も、さぞかし斯様に覚悟を照らしたであろう。
庭の石まで気を引き締めるとは、なかなか朝廷向きの働き者である。
武士の髷や羽織を整える暇があるなら、まず攘夷か開国か、己の志を整えるがよい。
黒船は見た目を選ばず来たが、大政奉還の大義は身なりではなく覚悟で立つ。
鏡を拝むより、朝廷の御前で恥じぬ言葉を一つ用意せよ。
朝廷の権威は、揺れた時にこそ守らねばならぬ。
公武の沙汰に風が立とうとも、こちらが先に動揺しては大義が崩れるだけ。
薩長の気勢よりも、まずは帝の御前に一筋の筋を通すべし。
禁門の変の煙がまだ目に残るが、だからこそ私は静かに、しかし退かぬ。
使者が汗だくで参るのは、嫌いではない。
それほどまでに急ぐなら、よほどの急報か、よほどの狼狽か——いずれにせよ、朝廷の一筆は風流の扇より効く。
千利休も顔色を変えぬ茶であれど、急ぎの使いは茶碗より先に息が切れるらしい。
1 / 2
次へ →