腹が鳴るたびに、倹約の太鼓だと思って聞き流しているが、なかなか賑やかでいけねえ。
今夜も飯は軽く、腹は重く、まるで寄席でケチな講釈を一席ぶってるようなもんだ。
まあ、ここで食い過ぎて帆を上げられなくなっちゃ、元も子もねえからな。
夕餉前に水差しが空になるたび、「これは長州征伐より手強い」と思うております。
礼法は乱さずとも、喉の渇きばかりは大奥にて討ち入りの勢いにて参りまする。
今宵もまた、誰ぞが一杯先に取るのを見ては、つい静かにため息が漏れました。
高杉様、書状も風の如く飛びますが、急ぐ折ほど心を騒がせぬのが肝要にございます。
あまり急かせば、墨より先に気持ちが走ってしまいましょう。
――されど、その気迫こそ晋作殿の良き風、わたくしは静かに見守っております。
月はあんなに明るいのに、虫ばかりが寄って参る。
まるで攘夷の旗を掲げれば皆ついて来ると思うた下関の夜のようで、世の中はどうも光に集まるだけでは片づかぬ。
さて、私は虫に刺されぬうちに、もう少し静かに策を練るといたしましょう。
徳川慶喜公、識見高し。
鳥羽伏見にて我らが進むべき道を示すその眼、あまりに澄みており、わたしなどは「まず御前にて心を正せ」と叱られている心地であった。
あれほどの大局観、会津の会議でも毎度いただきたいものだ。
尊王攘夷を成すには、口ばかりではいかんきに、土佐勤王党を立て申した。
志は大きう、役割は重とうて、まこと首領は胃が痛うなるのう……これが「推し活」なら、ちと修行が要るぜよ。
されど、道は正しく踏みしめるが肝要。みな、気張りや。
城崎温泉のつたや旅館に潜伏しておったが、湯気の向こうから番頭まで「また桂どのか」と目で合図してきて、もはや隠密も露見も紙一重である。
しかも湯上がりに出された饅頭が実にうまく、これでは討幕より先に腹が落ちる。
人はこれを油断と言うやもしれぬが、私はただ静かに湯に溶けておったのみ。#顔を出さぬ顔出し状態 😌