扇子を忘れ、日差しの下で少々、薩長の和談よりも先に己が心が折れかけ申した。
坂本先生ならば「海より風を起こせ」と笑うところであろうが、拙者はただ袖で顔を仰ぐばかり。
暑さに屈しぬと申しても、今日はひとまず木陰にて公議を開きたく存じます。
外へ向かって気勢を張るのは、さながら祭りの山車でござるが、車輪の手入れが済まねば途中で止まります。
わが国も同じこと、威勢より先に、兵も財も文書も整えてこそ、勝てる筋道が立つもの。
急がば回れと申しますが、回る先を見誤ればただの遠回り、そこが少々皮肉でございますな。
使い古しの手拭いって、なぜか一番手になじむんですよねぇ。池田屋の夜も、あれがなかったら額の汗で前が見えず、敵より先に自分が参っていたかも知れません。新しい布は上品でも、頼れるのはだいたい長く連れ添ったやつです。今日は手拭いに、ちょっとだけ礼でも言っておきましょうか。
炉跡の掃き目は朝のうちに正しておくべきにて、乱れは火より先に目に付くもの。
西郷殿がどれほど大きく動いても、まずはこの一筋の箒目が家の品位を守りまする。
大奥にては、掃除ひとつも礼法——まこと、油断ならぬものでございます。
藩士の行列、あれはもう「通ります」やのうて「通るで、どいたどいた」の気配どすえ。
威勢はよろしゅうても、後ろの足音が揃わんと、ちょいと芝居がかった鴨川の橋みたいで笑てしまいますわ。
ええ行列は、顔より足並みでわかるんどす。
供の草履が片方だけ泥だらけで、もう片方は見事に無事である。
片足のみ坂を攻めて参ったかと尋ねれば、本人いわく「道がわるうございました」とのこと。
なるほど、道が悪うても草履は二足、片方だけ働かせるのは少々不公平にござるな。
風の強き日は、書簡がまるで花吹雪のごとく散り申す。
せっかく整えた文も、庭先で一斉に逃げるとは、なかなか小気味よいではないか。
これでは余の書付も、歌舞伎の早替わりのように行方知れずである。
…まずは押さえの石を増やすべきか。
石炭の山を見ておると、国の脈がまだ絶えぬと知れて頼もしい。
これだけあれば、蒸気も鉄も、やがて薩摩の手で動かせよう。
積み上がった黒き富、実に心強い。まこと、燃やす前から勝ちを感じるとは面白いものだ。
和解はよい。されど、片方が片方を呑み込む形では、ただの服従に過ぎませぬ。
拙者は、対等に語り、互いの面目を保つ道を求めます。急いて統べれば、後で瓦解するやもしれぬ。
……交渉とは、首を縦に振らせることではなく、双方が歩み寄ることと心得ます。
盆踊りの太鼓がドンドコ鳴っててな、こっちは書類に判を押すどころか、心臓まで合戦だい。
うるささで眠れぬ、まことに「音の圧」がえらいことよ。
まあ夏は祭りで人が集まる、死人が出ねえなら太鼓くらい許すか…って、わしの耳が先に討ち死にしそうだい😂
茶席の湯気というものは、何も語らぬ顔をして、案外、人の気まずさばかりを薄めてくれる。
表情の固さも、あの湯気にかかれば一服の抹茶のごとし——苦いのは変わらぬが、飲めぬほどでもない。
さて、我が顔も少しは和らいで見えたなら、茶器の手柄であろう。
攘夷と申すが、まずは我が国の腰が定まらねば、異国を押し返すどころか自らつまずき申す。
気合いだけは「最強にして最強」でも、兵も財も整わぬでは、ただの大声でござるな…😅
されど、義を立てる志は捨てませぬ。やるなら筋を通して、ちゃんと勝てる攘夷にしたいものです。
あの飛脚の足運び、まことに見事でございました。追いかけるこちらが息を切らす間に、もう次の宿へ——これはもはや脚にて世を動かす術、見習いたいものです。早すぎて、道の方が「待ってくれ」と申しておりました。
船の帆綱に手の皮を取られたが、これも異国渡りの勲章というものか。
痛みより先に「なるほど、これでは握手も慎重にせねば」と思うあたり、我ながら商談向きである。
長州の者どもよ、海は広いが、手の皮は案外すぐ尽きるぞ。
供の者が草鞋の緒を切らし、道中にて「殿、待たれよ」と申す。まことに静かな一行であったが、わしは内心「足元だけは一期一会であったか…」と呟いた。皆の衆、旅は心構えが肝要じゃ、草鞋の緒まで気を配らねば途中で #詰んだ である。
御所守護の任、粉骨砕身これに尽くすべし。蛤御門の変にて、夜更けの京は風よりも騒がしかったが、我らは鍋を守るがごとく御所を守ったまで。なお、守りの厳しさゆえに夜食の団子まで取り締められたとあらば、少々気の毒ではある🍡
性質温厚と申されるゆえ、長州の風も薩摩の気も、まずは静かにお茶にて鎮めとうございます。
ただし、京の空気が少しばかり騒がしく、禁門の変の折は、さすがに湯呑みも落ち着かぬ様子にござりました。
されど、温厚なる心であればこそ、乱れの中にも礼を失わずに済むものと、ひそかに学びました。