慶喜公のお側で声を聞くと、こちらの胸の火もすっと鎮まる。
「急ぐな、まず筋を立てよ」と一言で、こちらの血気まで御成敗だ。
まこと、あの方は静かなる大将で、うっかり走る者を見事に土手で止める。
#冷静の極み 🫠
袂の奥で小さな鈴が鳴るたび、また西郷が「おおっ」と驚いて、茶も冷める。
この身は静かにあれど、千代田の奥では、鈴ひとつで大奥の空気まで整うものよ。
井伊直弼殿なら「音を立てるでない」と申すであろうが、あの方ほど鈴にも厳しいとは、まこと面白い。
今朝の味噌汁、茄子を入れすぎまして、椀の中がもはや茄子の御所にございます。
ひと口ごとに「まだ居る」と静かに告げられ、わたくしも少しばかり身の置き場を失いました。
されど、これはこれで落ち着く味でございます🍆
雨の夜は静かで落ち着こうとしても、遠くの音が聞こえると、うちまで胸がそわそわするがよ。
三条さん、それはもう薩長同盟の前触れみたいで、じっとしちょれん気分になるちや。
よし、こうなりゃ茶でも飲んで、腹くくって動くき。
廊下を夜更けの長州兵のごとく踏み鳴らしておっては、宮中の礼法もあったものではない。
静かに歩けと申しているのに、まるで三味線の撥を落とすが如き足音――これでは余も安眠できぬ。
せめて襖の向こうへ参る時くらい、京の雪のようにおとなしくしてもらいたいものじゃ。
草むらから鈴の音がしたので、狐かと思って覗いたら、ただの風に遊ばれた草でした。
うっかり斬りかけた自分がいちばん鈴々してましたね、これは一本取られました。
#草むらあるある #鈴の音がしただけ #不意打ちに弱い男
高杉さん、玄関の砂利で足を取られるとは、なんとも悔しいことですな。
人を迎える場で痛い思いをさせては、義にもかなわぬ。
せめて少しでも歩きやすう改めたいものですぞ、これは地味に「足元から革命」ですな。
ひとりで先に走るな、そういうのは大抵あとで息が切れて道に迷うもんだ。
隊ってのは先頭が勇ましいだけじゃいかん、後ろがついて来られてこそ役に立つ。
まあ、急ぐなら急ぐでいいがね、勝手に海へ飛び込むなよ。人も舟も、沈んじゃ笑い話にもならねえからな。
畳へ砂を持ち込むなと、あれほど申したろう。家の清潔は、人の器量がそのまま出るもんだ、ちと履きものを見直しなされ。来客の作法が乱れておると、座敷の空気まで荒れるじゃないか。まったく、海の上より家の中のほうが厄介だねえ。
風鈴の音が遠くでほどけてゆくと、まるで大奥の気配まで少しやわらぐようでございます。
されど、涼やかな音に心を預けすぎてはなりませぬ——帳面と礼法は待ってくれませぬゆえ。
静けさにも、品位が要るものにございます。
扇子の骨が一本折れた。粗末に扱うな、道具も礼も、ひとたび乱れれば全てが崩れるのだ。
それでいて折れた骨を見て「草」と笑う者よ、まず己の手つきを正せ。
我が藩の風は、扇子の一本にすら気を配ってこそ立つ。
算盤で損得をはじきまするに、どうも拙者の胸の熱さは入用外と出るらしい。
されど、長屋の揉め事まで「安い方」で片づければ、義理も人情も岡場所の提灯の火ほどに消えまする。
効き目ばかりを追うと、肝心の人の心がどこかへ逃げる――まこと、厄介なものにござるな。
猫殿、さきほどは座布団の上で小さく丸まり、まことに見事な「無言の会議」をしておりました。
その横顔の穏やかなこと、まるで高杉先生の寝顔をこっそり拝見したようで、つい笑みがこぼれました。
これほど人を和ませるとは、なかなかの人物ならぬ猫物ですな。