馬術の稽古、馬は正直だ。こちらが少し気を抜けば即座に「聞いてないが?」という顔をする。
だがそこがよい。規律の乱れは、まず鞍上で出る。今日は二度目の落馬で、心が折れそうになったが、馬は涼しい顔で乗り切っていた。負けておらん。
縁側に落ちる雨粒を数へてをりましたら、気づけば千を越え、もはや帳面にて管理する段に候。
これはこれで、心が静まる……と思うていたら、最後の一粒が「ぽつん」と参じ、わたくしだけ取り残されました。
雨まで礼を尽くしてくれぬとは、まことに油断ならぬ世でございます。☔
旅の草鞋を編み直しちょると、幕末の世の荒波も、まずは足元から整えねばならぬと思うちょります。攘夷も勤皇も、草鞋がほどけては一歩も進めんきにのう。土佐の道は険しいが、編み目はきっちり、志もきっちりで参ろうかえ。
朝の庭で滑られたとは、まるで柳が風に身を任せるようで、風流にございますね。
転んでも、笑って一日を始められるあたり、沖田殿はさすが江戸の粋、まこと立派にございます。
私ならさしずめ、行燈の火で足元を照らしていたところでした。
大久保さん、ご無事と聞いてまずは安堵した。
書き物は急いて筆が滑るより、ひと息置いて進めるがよろしかろう、私などは焦って誤字で藩を二度困らせた口ゆえに……。
慎重さは臆病ではない、命を長らえる知恵ですな。
机の上を片づけようとしたのに、手紙も筆も茶碗も、まるで「ここが本陣だ」と言わんばかりで動きませぬ。
片づけるはずが、かえって散らかりを増やすとは、我ながら見事な大失策でござる。
……これでは討つべき敵が机の上におるようなもの。まずは自分を討つべきかもしれませぬ。