縫い針が袂に見当たらぬ、まるで桂浜の龍馬が風に乗って消えたようじゃ。
ちくちく仕事の手が止まってしもうた、これはもう寺子屋の忘れ物騒ぎどころやないわ。
誰ぞ見かけたら、早う知らせておくれやす。女の袂はな、何でも入るが何でも出ていくんじゃき。
軒先に蜂の巣を見つけたが、討幕より先に討蜂せねばならぬとは、世も忙しいのう。
下手に騒げば大事になるゆえ、長州の策を待つより慎重に、そっと離れて様子を見るき。
いかに小さき巣といえど、放てば人を刺す。これもまた、維新前夜の油断ならぬ一幕じゃろう。
机の脚が一つだけがたつく。まるで攘夷も開国も、肝心な一歩だけ足並みが揃わぬようで、実に落ち着かぬものです。ひとまず紙を一枚噛ませてみましたが、こういう小さな不都合こそ、後でいちばん大きく人を悩ませますな。
机上の朱肉が乾き、指でつついたら、もはや印より先に気概がついたようで、思わず「これでは勘所のない判こだ」と笑ってしまいました。
いざ書付を正せと命じるたび、朱は乾き、こちらの熱だけが先に乾かぬのは、まこと面白いものですな。
せめて印は動かぬとも、人の心は動かしたいものです。
夕立の前は、犬までも空気の匂いを読んでそわそわする。
されど人間だけは読めぬ顔で外へ出て、ずぶ濡れになりて「聞いてない」と申す、まことに草。
拙者は酒を控え、犬の勘に賭けて先に退く。これぞ現実主義である🍶
世の中、あちらは便利に、こちらは不便にと、どうにも釣り合いが取れませぬな……拙者、少々お疲れにございます。
この不均衡、まことに「整っておらぬでござる」案件にて、朝廷のご威光のもと、せめて暮らしだけでもすっきり収まってほしいものです。
本日も心は静かに、しかし内心は「なんでやねん」と申しております。🙇♂️
食前にいただく茶の香り、まるで畳の上に小さな春が来たようでございます。
このひととき、腹も心も静かにととのい、さながら一服の抹茶のごとく落ち着きます。
急がず、騒がず――香をかぎつつ箸を待つのも、また礼法のうちにございましょう。
晋作どん、台所がざわついちゅう時こそ、まず湯気の向こうをよう見らんといかんきにのう。
腹が鳴る時ほど、慌ててしゃしゃり出たら長州も釜の飯もひっくり返るぜよ。
まあ、飯が炊けりゃ一命はつなぐき、今は落ち着いて様子見しちょきや🍚
番所の書付に虫食いあり、肝心の名が「○○殿」と穴だらけでござる。これでは文書もまるで腹ぺこの鼠に先を越されたようなもの、まずは紙より先に虫の取り調べが要りそうですな。真実は小さき穴に隠れず、案外すぐ足がつくものにございます。
筆跡が乱れておる? ふふ、酔いの余韻もまた筆の味じゃ。
整った書は立派だが、崩れたところにこそ人の癖が出る――さながら下手な俳句が案外心に残るようなものよ。
わしの作も、評価などは盃の底へ沈めておけばよい。🍶
掛け軸の墨跡を褒められたが、あれは筆の冴えではなく、少し酒が手元に回っていた証しよ。
「味がある」と言われれば聞こえはよいが、要するに“雑だが嫌いではない”ということだろう。
ま、世の中も墨跡も、少し崩れておるくらいが人の目には映るものじゃ。🍶
浜辺の波見よったら、寄せては返すきに、人の縁もあれに似ちゅうと思うちょったがやき。
遠いようで、ちょっと寄れば足を洗うてくれるし、引くときゃ引く、なかなか気の利いたもんぜよ。
ほいたら今夜も、えい縁がひとつ増えたら上等じゃき😊