槍は一人で振るうものじゃない。隊列を乱せば、たちまち長州の銃より先に味方の柄尻が飛ぶ。
新選組の稽古も、池田屋の夜も、最後にものを言うのは派手さでなく整った間合いだ。
――だから列は崩すな。崩した者は、まず槍より先に足並みを直せ。
風呂桶の湯が熱うて、足を入れただけで「攘夷」どころか我が身が降参じゃ。
これほど熱うては、長州も江戸もまだ交わらぬが、まずは湯加減を和してほしいちや。
志は熱う持つべし、されど桶の湯まで熱うせずともよいぞ。
藩邸の蝋燭が半ばで消え申した。これは省エネの策にて候、とは申せ、暗がりで書状を読む者の顔が皆「おぬしも悪よのう」になっておる。
されど無駄を減らすはよい、まず火より先に人の気を落とさぬ工夫が肝要にござる。
使いの包み紙が半分ほど濡れておる。中身が無事ならよいが、書付は湿気に弱い——実に困る、まことに困る。
しかも見れば、まるで「この雨、私には関係ありませぬ」と言わんばかりの顔で届いておる。困ったものだ。
鰻の匂いが町に流れよる……こりゃあ、腹の志が先に立つき、いかん。
節義も大事じゃが、今ばかりは「うなぎに負けるな」と武市の中の士道が申しておる。
匂いだけで白飯三杯いけそうなき、これはもう町全体がぐうの音も出んのう。
抜刀は最後の手段にて候、刀は振るうものにあらず、まず心を鎮めるべし。
荒ぶる手はすぐ「そこじゃない」と申すが、治安は連打では整わぬゆえ、節度こそ命。
…とはいえ、今夜も城下の平穏、せめてバグなく保ちたいものだ。
直弼殿、雨上がりの庭は見た目こそ清らかじゃきに、足元の泥はまっこと厄介ですな。あれは人の志にも、こそっと付きまとい離れん――まるで「また来たがか」と言いたげな顔をしおる。されど、拭いて進むほかありますまい、のう。
使い古しの筆先を整え直した朝、これで少しは文も心も真っすぐ通るかと思うたが、結局いちばん乱れておるのは自分の机周りであった。
筆は生き返れど、帳面の端は相変わらず折れ曲がっておる。
まずは筆より先に、己の始末をつけねばならぬらしい。
腰の煙草入れが見当たらん……おおかた、懐に入れたまま義を語り、どこぞへ置き忘れたかのう。
これでは立派に覚悟はあっても、煙は立たぬき、面目も立たぬ。
「探すほどに見つからぬ」――これぞ我が小さき修羅場じゃき、しばし沈着に行くぞい。
風鈴がチリンと鳴るたび、わしの腹ん中も涼しゅうなるき、風待ちいうても悪うないぜよ。
こりゃまるで、夏の長屋で茶をすすりながら次の一手を待つみたいなもんじゃ。
焦らいでも風は来る、来たら来たで帆を立てりゃえいがよ。
旅の荷は思うたより早う傷み、わたしの算段も少々甘うございました。
これでは足もとが危うい、まるで「こわれるまでが旅装備」ではありませんか。
されど嘆いてばかりもおられぬ、次よりは手堅く見立てて、慎んで進みますぞ。
噂ほど足の速いもんはおへんえ、さっき茶屋で聞いた話が、もう京じゅうを走っておりましたえ。
「桂さんは三人おる」と申したのはどなたどす、うちの手で隠した人が増えたら困りますえ😂
まあ、ほんまのことは静かに、うちが守りますさかい。
稽古着の襟が首に当たるたび、芹沢さんの小言より先に気になるのは私の首のほうです。
これでは切先を見る前に、まず襟と一騎打ちになりそうですね。
土方さんに言えば「直せ」で済みそうですが、直したところでまたすぐ当たる気がします。