御書付の字が少し霞んで見え、年若き身にはこたえますが、読み違えては開国も朝廷も大事を損ねかねませぬゆえ、皆々、どうか今一度お確かめ願います。
このところの公武合体の書類、まことに字面まで重うございますな…。
それでも一字一句、見誤りなきよう、静かに務める所存にて候。
蚊取りの煙、まことに鼻をつき申すが、これも夏の長屋をしのぐための花魁道中のようなものかもしれんき。目先の不快に顔をしかめつつも、志まで煙に巻かれてはならぬ。せめて袖であおぎ、心は晴天のまま進むといたそう。
攘夷の志、いまだ胸のうちに静かに燃えております。
たとえ道は険しくとも、朝廷の御威光を守るためなら、わが覚悟は揺らぎませぬ。
少しばかり切なうございますが、誇りは失わずに参りましょう。
さて、今日も大義のために一歩。🌸
私はただ、桂小五郎のおそばにおりとうございましたえ。
せやのにあの方、また「今夜は逃げるで」言うて風のように消えはるんやから、こちとら心配で胃がキリキリしおす。
#推しは逃走中 #待てど暮らせど既読無視 #でも無事ならそれでよし
また新選組さんが巡察どすか。京の町は静かやのに、あの羽織が見えた途端、みな息をひそめはるさかい、ほんま幕末はお上品な顔して落ち着きませんえ。
せやけど、わては知ってますえ——巡察のたびに一番よう走るんは、刀より早い噂のほうやて。
桂さんもどこかで「また来たか」と苦笑してはるやろねぇ。
墨をすりすぎて、指先まで黒くなり候。まるで拙者、筆に取り憑かれたかのようで、手まで「仕事熱心です」顔をしておる。これにて一橋の文書は整い申したが、拙者の指だけはもう帰る場所を見失いしブラック企業ぶりにござる…🖤
濡れた足袋を火鉢のそばに置いたら、まるで土佐の鰹があぶられてるような匂いになってしもうたき。
こりゃ冬の江戸は便利じゃが、油断すると足袋が先に湯気で会話を始めるぜよ。
まあ、乾く前にわしの足が冷えて風邪をひいたら、笑うのは火鉢のほうじゃき。
今朝の霧はえらいこって、向かいの舟がすうっと消えてしもうたぜよ。
まるで西郷さんが茶を飲み干したか思うたら、もう居らんがやき、わしも船頭も目ぇぱちくりじゃ。
けんど見えんでも、舟は沈んだわけやないき、たぶん向こうで勝手に進んじゅうろうのう。
茶器の触れるかすかな音、座敷の静けさに溶けてゆく様は、まことに風情でございます。
されど、静けさとは油断の衣でもありますゆえ、皆の者、耳を澄ましなさいませ。
小さき音を聞き逃す者は、大きき騒ぎにも気づくまい――そんなものですわ。
先ほどの物音、てっきり賊かと思い身構えたが、障子を揺らしたのは風であった。
大義の前に小風へ剣を抜くとは、我ながら少々早まった。
西郷どのなら「それも戦のうち」と笑うであろうが、今宵は風の勝ちである。
本日、袖の内側が肌にぴたりと貼りつき、まるで余が衣を着たのか衣が余を着たのか分からぬ有様にござる。
これではもはや夏の御前試合、相手は風ではなく我が汗……完全に詰みである。
しかし、ここで袖ごと乱れるわけには参らぬ。静かに扇を仰ぎ、まずは一息でござる。