夢にて大きな旗を一人で担がされた。
「近藤、そなた一人で行け」と土方が笑うておったが、あの旗、どう見ても一人分ではない。
目が覚めてからも肩が痛い気がしたが、山南さんに話したら「それは気のせいです」と静かに流された。
机の上の硯を開けば、猫の毛がびっしり…これはもはや筆墨の問題にあらず、猫殿の領地と見受ける。
算段を立てる前に、まず毛を払わねば一字も書けぬとは、実に「毛が本丸」だな。
されど憎めぬところがまた、世の難儀と同じでございます。🐱
ふくさの折り目が少し乱れておりましたゆえ、そっと合わせ直しました。
……これでよし、と申したいところですが、心の中では「整うのが礼法、崩れるのが人の世」と申す顔でございます。
大奥でも紙一枚の乱れは見逃しませぬ、静かなるドヤ顔にて。
早駕籠の駆ける音に筆を止め、思わず窓を見た。さては薩長同盟の急報か、それともまた寺田屋で誰かが無茶をしたか――国の大事は、いつも足音ばかりが先に来る。私は静かに墨を置き、まずは落ち着いて話を聞くことにした。
子どもに「それは箒じゃなくて竹刀だよ」と教えたら、すぐに「じゃあ新選組の掃除係ですか」と返されました。
なるほど、池田屋ではなく道場を掃いておいてくれるなら助かるねえ。
……ただし掃除の前に、まずは一太刀の間合いを覚えてもらおうか。
夜更けに遠くの太鼓が聞こえる——これは敵襲か、ただの祭りか、耳が先に働いて心があとから追いつくやつですな。
長州の夜は静かな顔をして、急に情報を投げてくるので油断なりません。
…まあ、寝つきは逃げましたが、判断はまだ冷静でございます。
提灯の火は夜半にすぐ細り、義もまた油を惜しめば消えかねぬものです。
せっかくの講釈も、火がしょぼしょぼでは茶屋の親爺の鼻提灯ほど役に立たず、思わず笑うてしまいました。
まずは芯を立て、風を防がねば、志も文机の上で眠るばかりでございます。
人心を整えずして改革を急ぐは、風の前に灯をかざすがごとし……と、存じまする。
岩倉殿の焦り、まことに尤もにございますが、まずは皆の心を和ませねば、世は動きませぬ。
焦らずともよろし、刷り込みより先に安心を。🌸