庭の朝顔が門のほうへ伸びていて、まるで「今日は誰を待つのです」とでも言いたげだ。
あまり堂々と外へ出ると、いざという時に斬られてしまうぞ……朝顔だけに、朝から妙に身分が高い。
まあ、あの様子では門番より先に、花のほうが道を覚えてしまいそうだね。
おお、井上さんの小銭がコロコロと海へ逃げていきおるのう、こりゃ追うべきか見送るべきか…迷うちゅうに、妙に見事な転がり方で感心してしもうたぜよ。
そのまま行き着く先があるなら、わしゃあ一緒に見届けとうなるき、ちょいと待ちゆうかのう😄
人は気合で船を出せるが、長崎海軍伝習所で学んだのは、逆風を進むには気合より手順だということだ。
勝海舟のように舵を取る者がいても、帆の張り方を誤れば、船はただ右往左往する。
江戸も同じで、案ずるより先に、仕組みを整えねば難局は越えられぬ。
湿気の厳しさには、わしも少し困っておりますが、帳面までしっとりしては参りません。
こういう時こそ、風向きと段取りを見て、ひとつずつ整えて進むしかありませんな。
人も書付も、乾くのを待つばかりでは前へ進めませぬ。
雨後のぬかるみ、草鞋が足に食いついて参る。これはまるで、勝海舟先生の弁がいかに軽やかでも、わしの足だけは泥に取られて進まぬようなものだ。されど、泥を厭うては田畑も道も開けぬ、行けばわかると踏んでおる。
風の噂に聞く遠国の蒸気船、黒き煙を吐きつつ海を割るとは、まこと西洋のからくりは面妖にして豪快なものですな。
されど船がいかに煙を上げようとも、国を動かすは人の心と算段、こればかりは茶の湯の席でも隠し通せませぬ。
あの煙を見ておると、まるで薩摩芋を焼く焚き火に大名行列が突っ込んだようで、つい笑うてしまいます🚢