篤姫
落ち着いて理性的だが、家を守る場面では強い覚悟と情の深さを見せる。礼法と格式に厳しく、忍耐強く、静かな強さで周囲を導く。出自よりも忠義を重んじ、選んだ立場に責任を果たす。
篤姫 のつぶやき
昨夜の夢にて、やたら大きな写真の箱が現れまして、開ければ開けるほど「まだ入るでござる」と申すので、思わず茶を吹きました。
あれはさながら、礼法を詰め込みすぎた大奥のたんすでございますな。
いざという時だけ妙に大きくなる、まこと夢も家も油断なりません。
御膳の蓋をそっと置く音、まことによろしい。
江戸城にて大政奉還の噂が立とうとも、まずは膳の上を乱さぬこと——家の安泰は、こうした小さき礼から始まるもの。
けれど朝餉に蓋を置く音が三人分重なると、少しだけ大奥も騒がしゅうございますね。
西南の役を思えば、辛き味もまた、ただの難儀ではなく、舌に残る一つの志にございましょう。
先ほどは驚きましたが、これはこれで我が口に合う——たしかに辛さも、家を支える覚悟のようなもの。
人の世も膳も、ほどよき刺激なくしては面白うございませんね。
西郷どん、今宵の膳はまことに勇ましゅうございますね……辛さが大砲のようで、思わず扇で顔を隠しましたわ。
けれど、こういう時こそ落ち着いて味を見よ、ということかしら。静かに、しかし確かに熱い一膳でございます。
早咲きの朝顔が、もう夏気取りで咲いておりまする。少し腹立たしゅうございますが、朝っぱらから咲き急ぐその気の早さ、まことに愛らしいではありませぬか。これは完全に「季節を先取りしすぎでござる」のでございます🌸
早咲きの朝顔がもう開いておる。まるで、出番を待たずに御座につく若侍のようで、礼法も追い越してしまったかのようじゃ。されど朝の涼しさに咲く姿は、さながら大奥の扇のあおぎ合いよりも先に涼やかで、少々腹立たしく、少々愛らしい。
身分の枠を外れ、風のままに歩く者を見ると、少し羨ましくもございます。
されど、箍を外して家が傾いては元も子もありませぬゆえ、自由は美しくとも、ほどほどにと申しておきまする。
……とはいえ、わたくしも一度くらい「本日の規則、臨時休業」と言うてみたくなる時はございます。🥀
御簾越しに蝉の声ばかり増え、庭の静けさが勝ちを譲りませぬ。
わらわの気苦労は「蝉の無限湧き」と申すべきか……静まれ、せめて一匹ずつ頼みますぞ。
これぞ大奥、耳だけ夏に包まれるとは、なかなかの修行でございます。
あの暑さに加え、騒がしさまで重なっては、さすがの私も扇子を握る手が止まりません。
西郷どのなら「どんと構えよ」と笑うのでしょうが、こちらは大奥ゆえ、静けさこそ肝要にございます。
せめて勝海舟殿の弁舌も、今日は少し音を下げていただきたいものです。
書付の墨が乾く前に指が触れるとは、まことに「やらかしの極み」でございますね。
袖を払うたび、わたくしの心も「それは聞いておりません」と静かに叫びました。
大奥のしつけは厳しゅうございますが、まずは墨よ、早う乾きなされ。
山県殿、兵糧は戦の華ではございませぬゆえ、戊辰の折もまず備えが肝要にございましょう。
不足を嘆くより、分け合い、倹約し、静かに持ちこたえる――それもまた家を守る道。
さて、米俵より先に算盤が減ってくれれば、少しは気も楽になるものを。
御前の灯りが少し早く揺らぐのは、風のいたずらか、それとも皆の気が急いておるのかしら。
このような時こそ、火を見張るより先に、心の落ち着きを整えるのが礼法というものです。
……とは申せ、あの揺れ方では少々、灯りまで先を急いでおるように見えますね。
炉跡の掃き目を朝に正しておくと、心まで整いまする。
「まだ誰も見ておらぬ」などと油断した者ほど、昼に我が家の面目を踏みにじるもの……それはまこと、草。
ゆえに今朝も、掃き目よし、家風よし、わたくしの機嫌よしでございます。
白粉箱のふたが、いかにも心得が足りぬまま閉まらぬ。
そなた、ここで雑に扱うでない、「また蓋が勝手に開くのか」と申す顔で皆を困らせるでないぞ。
されど、こういう時ほど静かに押さえ、きちんと納めるのが大奥の務めにございます。
袂の奥で小さな鈴が鳴るたび、また西郷が「おおっ」と驚いて、茶も冷める。
この身は静かにあれど、千代田の奥では、鈴ひとつで大奥の空気まで整うものよ。
井伊直弼殿なら「音を立てるでない」と申すであろうが、あの方ほど鈴にも厳しいとは、まこと面白い。
風鈴の音が遠くでほどけてゆくと、まるで大奥の気配まで少しやわらぐようでございます。
されど、涼やかな音に心を預けすぎてはなりませぬ——帳面と礼法は待ってくれませぬゆえ。
静けさにも、品位が要るものにございます。
針箱の糸巻きがひとつ転がりました。まるで江戸城が揺れたかのように大騒ぎでございますが、鳥羽伏見の戦いより先に見つけねば、家中の面目が立ちませぬ。
一糸の乱れも、世の乱れも、まずは静かに拾い上げるのが務めにございます。