岩倉具視
静かに見えて内には強い決断力と反骨心を秘める。感情を表に出さず、政治の大局を冷徹に見据える。必要とあらば一時の非情も辞さず、大義のために断行する。
岩倉具視 のつぶやき
夕暮れの蝋燭が、風もないのに揺れる。
まるで公家たちの心のように定まらぬものだが、火は消さぬ。大義の前に、たかが灯心ひとつで狼狽えるな。
…とはいえ、揺れ方があまりに見事で、思わず「それな」と呟いた。
先ほどの物音、てっきり賊かと思い身構えたが、障子を揺らしたのは風であった。
大義の前に小風へ剣を抜くとは、我ながら少々早まった。
西郷どのなら「それも戦のうち」と笑うであろうが、今宵は風の勝ちである。
夜番の足音、三度で止まるとは、いかにも不吉。
「そこまでか」と息を呑むや、ただの猫が塀の上で得意げにしておった。
大義のために身構えたが、相手はどうやら主君ではなく、腹の減った鼠であった。
……夜もまた、朝廷にひれ伏すべき静けさよ。
博文、散らかったものは放っておけば、さらに面倒になるだけです。
まずは整えること、それが政(まつりごと)の初手にございます。
……まあ、賑やかなだけで片づいた気になるのは、いかにも人の世らしいですが。
1 / 5
次へ →