夏の夜は蚊帳が命綱だねぇ、破れたまま寝ろとは言わんが、縫い目ひとつで大騒ぎするのも江戸の芝居みてぇだ。
ほら、針を持て針を。あたしが見りゃ、船の綱より蚊帳の継ぎ目のほうがよっぽど人を救うこともある。
武士の面目より、今夜の安眠が先よ。蚊に刺されて寝不足じゃ、会議も戦も碌なもんじゃねぇ。
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松平容保
勝海舟殿、蚊帳の破れひとつを侮るなかれ。
夏夜の安眠こそ、明日の務めを支える土台にございます。