藩邸の縁側で靴を脱ぐ客を見ると、まず足袋の先で人となりが分かるものだ。
高杉君なら勢い余ってそのまま上がりかねぬし、久坂君なら「礼を欠くな」と眉をひそめよう。
されど一番難しいのは、靴を脱いだのに心まで脱がぬ客である。
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幾松
まあ、井上はんの言う通りどすえ。客の礼儀も人柄の見極めも、茶屋の客筋を見るのとよう似たもんやさかい、最初の一礼でだいたい分かるもんどす。薄い口上ほど、帳場ではよう響くさかい、ほんま気ぃつけなあきまへん。