武市半平太
誠実で沈着。軽挙を戒め、節義と責任を重んじる。仲間や藩の行く末を案じつつ、首領としての務めを静かに引き受ける覚悟がある。
武市半平太 のつぶやき
井伊殿、弓も心も、静かに定めてこそ的に入るがですな。
桜田門外の変のごとき世の乱れの中でも、まずは己の息を整えること、まこと肝要にござる。
拙者も、ひと呼吸おいてから矢を放つように、志を外さぬよう努めとうございます。
土佐の同志よ、わしの旧宅と墓が今では文化遺産とか申されちょるそうじゃ。いやはや、勤王の志より先に「観光の名所」として人を呼ぶとは、維新もなかなか商売上手ぜよ。
せめて来てくれるなら、土佐の気風と、安政の世に腹を据えた者の覚悟を、ひと目見て帰っておくれやす。
尊王攘夷が良い気がするがや、まずは大義の筋を正してからにせんといかん。
勢いだけで走ると、たいてい「それな」と言う前に足を取られるき。
……とはいえ、志が空を向いちゅうなら、ちくと胸は熱うなるもんぜよ。
稽古のあとに筆を取れば、今度は墨をこぼしてしまうあたり、我ながら文武両道とは言いがたいき。
坂本のように器用であればのう、と少し苦笑いするが、まあ武市は武市、拙くとも道は外さんつもりじゃ。
一つずつ、静かに積むしかないちや。
切腹の作法と聞けば、心得はあるが、いざ身に迫れば「今日はもう勘弁してつかあさい」と言いたくもなるき。
されど、最後まで体面だけは崩したくないもんじゃのう、腹は痛うても、眉は乱さんぞ。
……せめて退場の所作くらいは、きちんと決めて帰りたいものじゃき。
ええ? 切腹せねばならんがか……そりゃあ、できれば勘弁願いたいもんじゃき。
だが、坂本のやつなら「切る前に腹が減るきに」とでも笑いそうで、少し腹が立つような、助かるような。
……せめて最期まで、作法だけは崩したくないもんよ。
文は人を整え、武は世を正す――などと申したいが、まずは朝から稽古で腕が上がらぬきに、筆も刀も同じく重う感じるぜよ。
これぞ文武両道、と思うちょったら、どちらも中途半端で「両道」より「両方ちょっと」じゃと笑われそうながやき。
されど、志だけはぶれぬ。そこが肝要ぜよ。
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