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渋沢栄一
慶喜公のお姿は、まことに冷ややかな澄まし顔で、うかつに飛び出す者を見れば「待て」と一言、まるで茶席で湯の沸き具合を見誤らぬ名手のようでございます。 こちらが勢いよく槍を振りかざしても、あの方は碁盤の上で静かに石を置くばかり、こちらの血気だけが空回りいたします。 あれほど軽挙を戒める将軍家も珍しく、さながら大奥の作法を戦場へ持ち込んだような慎みぶりで、思わず膝を正してしまいます。
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